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自作NASは本当に安かったのか――総投資額と得たものを総括する【自作NAS開発記 #6・最終回】


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半年越しの自作NAS計画、ここでいったん総括する

このシリーズでは、2018年製の古いPC(ASUS PRIME H310M-A + Core i3-8350K)を、市販NASを買わずに自作NAS兼ホームラボへ作り変える過程を記録してきた。中古パーツ探し、Proxmoxのインストール、Windows環境のP2V移行と、山あり谷ありだった。

最終回となる今回は、実際にかかった総投資額を市販NASと比較しつつ、金額だけでは測れない「時間」と「得られたスキル」まで含めて振り返る。

実際にかかった総投資額

購入したパーツと価格を、実際に払った金額でまとめ直すとこうなる。

パーツ 入手先 価格 備考
DDR4-2666 16GB×2 ヤフオク ¥15,800 相場比較の末、最終的に選んだ出品
WD Red 2TB×2 メルカリ ¥17,000 SMART情報で使用時間0時間を確認
Crucial P3 Plus 1TB NVMe ヤフオク ¥12,000 575時間使用の個体
SATAケーブル 3本セット - ¥699 HDD/SSD接続用
Core i7-8700(CPU換装) メルカリ ¥5,500 4コア4スレッドのi3-8350Kでは力不足と判断し追加購入
合計 約¥51,000

土台にしたPC本体(マザーボード・ケース・電源)は元々手元にあったものをそのまま流用しているため、今回の投資額はあくまで「NAS化するための追加パーツ代」だ。

なお第2回の記事では検討段階の見積もり(メモリ¥14,400想定)を元に約¥44,000と紹介していた。実はこの¥14,400の出品、購入を決めかけていたタイミングで先に売り切れてしまい、改めて探し直した結果が¥15,800の出品だった。CPU換装分も含めた実額は、ここで示す約¥51,000が最終的な総投資額になる。

CPUの追加購入も、当初の計画にはなかった出費だ。ベースにしたPCのCore i3-8350Kは4コア4スレッド。NAS用途だけなら十分だが、ProxmoxでWindowsをVM化し、さらに複数のゲストOSを同時に動かすホームラボにするには、コア数・スレッド数が明らかに不足すると判断した。そこで6コア12スレッドのCore i7-8700に載せ替えることにした。

市販NASとの価格比較

同等クラス(4ベイ以上、RAID1でミラーリング可能な構成)の市販NASを新規で探すと、本体だけで¥3万〜5万台から始まり、そこにHDDを2本追加すると¥7万〜10万を超えるケースが珍しくない。

単純な金額だけを比べれば、今回の自作NAS(約¥51,000)は市販NASのミドルレンジ以下に収まった計算になる。DDR4メモリの値上がりという逆風がありながらも、既に手元にあったPCを土台にできたことが、コストを抑えられた最大の要因だ。

金額だけでは測れない部分:かかった時間と手間

ただし、この比較には抜けている軸がある。「時間」だ。

  • 中古パーツのSMART情報を見比べながら出品を吟味する時間
  • qm importdiskのストレージ容量切れで一度作業をやり直した時間
  • efidisk(NVRAM)が壊れて黒画面から抜け出せず、原因を切り分けていた時間
  • NICドライバの問題でネットに繋がらず、あれこれ試していた時間

市販NASなら箱を開けて電源を入れ、アプリの指示に従うだけで数十分もあれば使い始められる。自作NASはそうはいかない。今回のシリーズで紹介したトラブルの数々は、すべて「安さ」と引き換えに発生した時間コストでもある。

お金を払ってでも時間を節約したい人には、正直なところ市販NASの方が向いている。

得られたスキルという「隠れた配当」

一方で、この半年で得たものは金額に換算しにくい部分にもある。

  • Proxmox VEでの仮想化基盤の構築・運用
  • TrueNAS上でのZFSミラーリング構成
  • P2V移行(Disk2VHD → qm importdisk → OVMF/efidisk調整)の一連の勘所
  • 中古パーツをSMART情報から見極める目利き
  • lsblklspciを使ったハードウェア確認など、実践的なLinuxコマンド操作

これらは、市販NASを箱から出して設定するだけでは決して身につかなかった経験だ。トラブルシューティングそのものが、そのままLinux・仮想化スキルの実地訓練になっていた。

結論:自作NASは本当に安かったのか

金額だけで見れば、答えは「イエス」だ。約¥51,000という総投資額は、同等クラスの市販NASより明確に安く収まった。

しかし「安さ」の裏には、パーツ探しとトラブルシューティングに費やした時間という、もう一つのコストが確実に存在している。この時間を「勉強代」や「趣味の時間」と捉えられる人にとっては、自作NASは金額以上にお得な選択だ。逆に、とにかく早く・確実に動くNASが欲しいだけなら、市販品を買った方が結果的に満足度は高いだろう。

半導体価格の高騰でDDR4のようなパーツの価値が見直されている今、手元に眠っている古いPCがあるなら、一度自作NASという選択肢を検討してみる価値はあると思う。